サンサーラ/あすくれかおす
それいゆは 金ぴかの花をにぎったまま
道草 食べて暮らせば どこにもたどり着かないで済むと言った
それを言うは 他にはもはやだれもいなくなった
世界は枯れてしまったんだ 金ぴかをひとつのこしたまま
わたしの名前は サスピシャス
世界は枯れてしまったから名前には意味が無くなった
生暖かい風
この世の常温が わたしの身体を融かしてゆく心地がする
「汝ぐらぐらの視界を愛せよ」と仰る
わたしだけの神さんは いつも適当だ
それいゆは金ぴかの花を
愛そうとも 捨て去ろうともしなかった
手放した瞬間に消えていく
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