サンサーラ/あすくれかおす
 




それいゆは 金ぴかの花をにぎったまま

道草 食べて暮らせば  どこにもたどり着かないで済むと言った

それを言うは 他にはもはやだれもいなくなった

世界は枯れてしまったんだ 金ぴかをひとつのこしたまま


わたしの名前は サスピシャス

世界は枯れてしまったから名前には意味が無くなった

生暖かい風

この世の常温が わたしの身体を融かしてゆく心地がする

「汝ぐらぐらの視界を愛せよ」と仰る

わたしだけの神さんは いつも適当だ


それいゆは金ぴかの花を

愛そうとも 捨て去ろうともしなかった

手放した瞬間に消えていく

[次のページ]
戻る   Point(2)