光/アンテ
真っ直ぐな樹は根付く先を求めて
荒れた大地を歩き通し
ついに小さな森にたどり着いた
黒い雲がどんよりと空に垂れこめていて
森全体がうす暗く
樹々はみな痩せ細って
わずかな光を求めて伸ばした枝葉がからまりあって
身動きのできない状態だった
真っ直ぐな樹は混乱を収めようとしたが
樹々は口汚く罵り合うばかりだった
それでも根気よくからまった枝を解き
葉をかき分けながら
わずかなすき間を作って森へ分け入り
なんとか中心にたどり着いた
ところが森の主は朽ち果てて
無惨な残骸と化していた
真っ直ぐな樹は必死に他の樹たちに呼びかけたが
だれも耳をかそうとせず
そうするうち
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