創書日和「扉。」/
狠志
取っ手のない扉を前に、
僕らは立ち止まった。
誰かは、そっぽを向いて。
誰かは、泣き始めてしまって。
誰かは、殴り始めた。
殴り続けている。
僕はそれらを見て、何もしていない。
この扉をあけたところで、何がどうなるのだろう。
誰かが、銃を手に取った。
扉を撃ち破ろうというのだろうか。
コメカミに付けて撃とうというのだろうか。
誰かが、優しい声で唄い始めた。
取っ手のない扉は、僕らに見えているのだろう。
たぶん、おそらく。
[グループ]
戻る
編
削
Point
(6)