友だちと別れたことのある人に/hachico
 
色とりどりの花火はなく、
缶ビールもたき火もなく、はしゃぎあえる仲間もなく、
心臓の鼓動にあわせて光る灯台を、
長い間見詰めていた。
夏の夜の密度に濡れた手を繋いで。

「どうしてこんなことになったのか」
二人で同時に呟いた瞬間に私たちはもうどうしようもなくなって、
お互いの唇を塞ぐしか方法が見つからず、
冷たく照らす月の下、ひたすら温もりをまさぐりながら、
自分達が生きているということを確かめるしかなかった。
砂にまみれてお互いの生命の根源を結び合うしかなかった。
私の鳴き声は波に掻き消された。
あなたの涙は潮に溶けていった。



あれから随分経ちますが、

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