睡眠欲/暗闇れもん
 
薔薇をちぎるのに夢中になって気づいたら朝日でした。

「嘘つきめ」

「はい」

少し焦臭い髪の毛をかきあげながら、枯れた薔薇を差し出した。

彼は、手でいらないというしぐさだけでそれ以上求めない。

興味がそれた空気の流れ。

嵐に私に薔薇に、そしてあの人に帰る。

チャイムの音がする。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

静寂が二人を包み、それ以上何も求めない。



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