lady maid/土田
いつものサンマルクカフェのまえ
死ぬのはいつも他人ばかり
なんだかおしっこの匂いがする商店街の
つみ重ねられた赤レンガの壁のみぞを目じるしに
どのくらい伸びたかなんてやってみたかったから
そのまえでとおせんぼうしている
気ちがいみたいに陳列されたタバコの自販機を
ずっと蹴り飛ばしたりしてみた朝方でした
いいえ
しつけの悪い犬に与えられているみたいで嫌だったから
もらったカプセルはいつも向かいの席にすわる人の
土のなかへ埋めておくことにしています
眼球のうらからしびれ
くしゃんと心臓が音をたて
からだのなかをまぶしてゆくような
あの子の貧乏ゆすりだけが好きで
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