羊水記?/土田
 
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せかいが
海のなかで
おるがんをひいている
けれど少年の手が
水を掻きわける音で
それは誰にもきこえない
それは誰にもきこえない
いかだだけが知っているひみつ
それは誰にもきこえない
それは誰にもきこえない
誰にもきこえるはずがないのです

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きのうは大津波でした
あしたはきっと空が降ってくるので
きょうは遠足のまえの日のように
少年は夢のなかに
たくさんの文字を描いて詰めこむのです

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そうしてあさって
海はまたひとつ
しょっぱくなってしまいます
どうか午後の子どもたちよ
もうまぶたを落とさないでください
羊飼いたちが夜を仰ぐころ

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