巻く/ここ
雨が降り始めたと思い、傘をさす
ぺたんっぺたんっ
それはスタンプたち
地面の所々に少しづつ、きれいな幾何学模様が現れる
増えて繋がっていく黒い模様に引き寄せられるように見入っていると
徐々に本降りになってくる
模様は潰れ、インクが足元に点々と飛び散ってくる
ふと気づくと、黒く染まっていく思考だけがそこに存在している
光の無い渦の中心にじりじりと吸い寄せられていく
ばしゃんっ
車の撥ねる透明な水飛沫が身体にかかる
螺子を巻き終えたばかりのからくり人形のように
半透明な景色の中を再び歩き始める
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