ヒッチハイク/小川 葉
 
芸術と現実のまんなかで
僕らはヒッチハイク
あの崩れた山の向こうに
家があるんだ

あいにく
運転手の行き先は海で
たしかにそこは海で
干上がってるから歩き出す

潮の匂いが懐かしいね
君は言う
少しずつ離れていく島を
時々振り返って
馬鹿野郎と叫ぶ馬鹿なわたし

芸術と現実のまんなかで
干上がった海を歩いて
歩けなくなるまで歩いて
しかたなく僕らはそこを家にして
幸せに暮らした
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