西の姫星/亜樹
学者のエタは考えた。
西のお空の姫星が
ある夜不意に消えたのは
一体何が悪かろと。
のまず喰わずで
三日三晩
寝ても醒めても
空ばかし
あるとき派手に転がって
こさえた擦り傷なんのその
手を貸す人も
いないまま
今日も一日
空ばかし
学者のエタは考える。
西のお空の姫星が
あの夜不意に消えたのは
隣の町の
粉曳きに
ちょいと逢いたく
なったため。
さもなきゃ暗い夜の海
大きく広い口空けた
真っ赤な貝に誘われて
真珠になってしまったか。
学者のエタは考える。
今日飽きずに
空ばかし
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