過剰な自意識が産む嘲笑/松本 卓也
 
僕の妄想の中で懐かしき貴様らはと言えば
自らの幸福と比較し無意味な自答を連ねる自愛の様を垣間見て
ひたすらにありきたりと置いてけぼりの過去を重ねて嘲るだろう

見えているようで見えていなかったことさえも
見えていないようで見えていたことさえも
何一つの心さえも捉える事もできなかった分際で

ごらん
足元には幾多の畜生が屍を晒し
引き摺り出た桃色の直腸の先にこそ
人生に幸福を選んだ価値があるのだから

幾万分の一に埋没した原型の果てに
少しでも記憶の片隅で啼いている亡骸が居るのなら
それこそが君たちが投影していた僕であり自己であろう

幸福に見出した意味でさえ
誰しもに降りかかった災難でしかない
あんたがたがこの瞬間覚える感情は
一種の勘違いに過ぎないこと
分かっているのかね、と敢えて問わせてもらおうか
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