【うめぼし】/
檻野楴人
を
かなしみで塞いだ
くしゃくしゃの煙草を
ゆらゆらと揺さぶっては
ただ、ぼんやりと夕陽を眺めて
俺は、俺は、ただ
これでいいのかって気がした
何もこたえない俺の抜け殻を
くすぶったこの町の夕陽に
高く高く投げあげて
俺は、俺は
これでいいのかと夕陽に尋ねる
溜め息ばかりが風にまざっている
こんな日はただ
まぶたを忘れるほど
夕陽を眺めるよりほかにない
沈むより先に
さよならと手を降って
まぶたを忘れるほど
眺めるほかに
なにもなかった
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