千夜一夜 〜紅の珠〜/朱葡
誰にも触れさせないような素振りでいる。でも本当は
誰でも容易く触れる事ができる。ただ、気がつかないだけ。
それとも、皆気づいていて言葉の彩で遊んでいるだけなのか。
深い青の中に沈むと、紅色の珠を抱いているあなたが居た。
触れた途端、芯に落ちた。ずっと、こうしていたんだと言う。
自分の中に自分を刻めば、誰も想うことはないでしょう?って
誰かに触れてほしくて、触れたくて。でも、不安なんだと言う
珠の中に閉じ込めた自分が、相手を壊してしまうんだ
それを見るのが切なくて怖くて。だから誰も壊さないように
こうして抱えて守っているんだと、あなたは言った
自分しか見ないように、愛
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