「 隣の薔薇 」 /服部 剛
 
いつまでも続くような 
ひとりの加速道路を 
たらたらと運転しては 
サイドミラーをびびって覗き 
High Wayに入れなかった 
もし勝負の分かれ目があるなら 
合流前の加速時に 
すべては決まっているだろう 
今夜僕は高田馬場にあるCafeの 
黒い小さな舞台の上から 
一つの夜に集う人々に 
すべての思いをつめこんだ 
白いボールを投げ込む 
そして自らの詩の言葉を
歌い終えたら、深夜の街で働く君に 
「 Ever lasting lie 」という 
お気に入りの曲を入れたMDを届けに 
終電に乗りこむだろう 
いつまでたっても 
高嶺の花を微笑ませるのは容易くないが 
加速道路のハンドルを握る僕は 
ゆっくりとアクセルを踏み込む。
ウィンカーを点滅する。 
サイドミラーを瞬時にみつめる。  
いつか、助手席に 
一輪の薔薇が 
花開くよう 
もう1度 
High Wayへの合流を、 
試みる。 
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