ふくろうと月光/小原あき
 
玄関の靴箱の上に
ふくろうを飼っている
餌もいらない
水もいらない
糞もしない
木彫りのふくろう
畑の胡瓜よりも世話がかからない
木彫りのふくろう
だけど、夜になると
目が光る

わたしは暗闇が苦手だ
暗闇に入ると何も見えなくなる
怖くはないが
不便だ

階段を下りると玄関がある
門灯を消して
眠る準備をすると
消したはずの光が
ぽつり、と灯る

火の元が気になって
二階の寝室から階段で一階へ下りると
ぽつり、と灯る
彼は鳴かない
暗闇に光を見つけられないわたしに
暗闇のわずかな光を集めて
彼は玄関を案内する

ついでと思い
玄関の鍵を
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