たえがたくうたわれたうた/
楢山孝介
火のみ
火のまま
始原と同じ勢いで
燃え続けている
口は知ることにより変わってしまったから
音の響きに意味を持たせてしまう
愛しさも
熱情も
それらしくまとわせてしまう
無邪気に放たれた始まりの歌声は
もう地上には鳴り響いていない
自分の歌の嘘くささに耐えられず
火口に向けて吐き捨てるように歌い続け
喉を焼いた人がいる
歌から嘘くささが消えたわけではないが
その人は今も
しわがれ声で歌い続けている
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