ウエハース島の思い出 4 〜したがって〜/よだかいちぞう
の指示したとおりにしたまでだ
けれどもそれは誤りだった
それは君の間違いでもあり
君を生涯後悔させることだったと思う
君はいま忘れているだろうけれども
私が島が沈むことを表明したことで
気付くはずだと思う
私は研究者だから
島が沈むことを
発表することをためらわなかった
私だけの胸にしまっておくことも
できたかもしれない
けれども私は研究者だから
そしてこの島と私たち研究者と
この島の人と子供たちは
このことを知るために
存在しているものである
だからわたしはためらわなかった
いや、私はしたがったのだ
リタ、すまない」
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