湖畔/kauzak
 
混沌を抽出したような
音楽に溺れていると

時おり

冴えた月光だけが支配する
澄みわたった湖畔の風景だけが
浮かび上がるんだ

ノイズとスクラッチと
サンプリングと器楽音
音の洪水にまみれているのに

静謐な光景だけが支配する

君とその水辺に立てるだろうか

言葉が存在できない
月光に撃たれるしかない湖畔に
むき身のままで

手を差し伸べることは
叶わないけれど
戻る   Point(8)