魔法が消えた日/曳舟
 
奇跡を起こす
魔法はなくて

過去のあらゆる
自分を恨む

泣いても唄っても
呪文にはならない


けれど
嘆くわたしは
詩を作り、また
思い出を自分の
世界に閉じ込めて

すりぬけていった物を
まるで手にしたような
そんな風にしてまた
自分を誤魔化した

喪失に無用な
言葉を流し込んで
穴から零れていくのを
上から継ぎ足して

ついにこころの井戸が
枯れ果ててしまうまで
この悲しみと
この苦しみと
遊び暮らすのだろう

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