父へ/ロリータ℃。
 



あなたが嫌いだった


大きな体に
大きな声
私たちを日の届かない広い家へと閉じ込めた
そこは泣き声と罵声だけが届く家



あの日あなたが
たった一人愛した女が消えた日
あなたは私の手を握りしめ
雪の降る景色を 黙々と歩いた



私があの日
全てはただ消えてゆくのだと思った日
怖がる私を大きな手で支えながら
ゆっくりとした速度のバイクに乗せてくれた



あなたは
私と同じように育てられて
どう愛したら良いのか
きっとわからなかったのね




ねえパパ
今度あの海へゆこうよ
私ね、好きな人がいるんだよ
今一緒に暮らしてる
その人のこと紹介するよ


バイクと車が好きな人だよ
大きな体に
大きな手を持った
そんな人だよ





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