青色/水町綜助
 


背を向けて
あるく
風は海から
ふいていて
髪の毛が
顔にかかる
目を瞑って
あるいたよ
砂浜を
母の座っているところまで
足が砂浜にとられる
靴先はもう

まみれ

秋の空気は黄色いね
透き通っていて
発光してる
黒い車が
うそみたいに
海を映してる
そのドアを開け放して
母は眠っている
少し笑って
しあわせそうに
安心してるね
僕は悲しくて
靴先をみた
手のひらに
砂がついていた
何一つ触れていないのに
手を開くと
きらきらひかってた
きらきらひかってた
ぜんぶ

振り向いて
海をみると
金色の浜辺には
夏の
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