青色/水町綜助
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波打ち際まで
立ち止まって
靴先を見ると
濡れていた
砂まみれ
島に囲まれた
静かな海は
太陽を浮かべて
オレンジ色
少しだけ
赤すぎる
溶けだした
高い温度
赤すぎる
砂を洗い流しながら
戻ってく
金色の沖へ
モザイク模様
生きているんだ
動くから
見つけられない
砂つぶは
引いていく波の
透明さの
中で転がる
きらきらしてる
何粒も
何粒も
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