「ストリッパー (3)」/ベンジャミン
け
ステージに座りこんだあたしが
いきなり立って歌ったら聞いてくれるかなぁ
きっとみんな知ってる古いウタ
はやりのウタじゃなくて童謡みたいなの
胸の前で指を組んで目を閉じて歌うの
だれもが無邪気だった頃に
みんなで一緒になって歌えたようなウタ
ステージと観客席みたいな隔たりもなく
土の匂いのする公園の広場でさぁ
輪になって手をつないでいられた頃の
いじめっ子といじめられっ子がいても
みんな同じ土の匂いと青草の匂いがした
きっとみんなが不思議だらけの現実の中
リアルにあこがれていられたときが
たしかにあった気がするんだよね
バカヤローって言葉が
あいさつ代わりだったよね
あたしが脱ぎ捨てたのは
きらびやかなランジェリーじゃなくて
無邪気でいられた頃の土の匂い
輪になって手をつないでいられた頃の
原っぱの緑がだんだんとぼやけてくよ
ねぇ ちょっと聞いてもいいかなぁ
あの頃のウタ
覚えてる?って
あたしがいきなり泣き出しても
誰かやさしい言葉
ひとことでも言ってくれるかなぁ
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