5才の時のように/kakashi
んに話しかける。
150 Pは特別病室の渡辺さんが心配だ。渡辺さんはたまにてんかんを起こして倒れる。だから渡辺さんも半日に一度看に行く。
160 この病院の空気はどうだろう。まるで競争社会からとりのこされた、いわばエアーポケットのような真空状態。空虚であるが、だけどここの住人はみな笑っている。お互いを尊重していたわりあっている。
170 真っ白な壁。ゆったり流れる時間。喧嘩する者はなく、優位な立つ者もいない。劣位に立つ者もいない。おしのける者もいない。
勝者が存在しないかわりに敗者も存在しない。
この空間は現代社会が実現したいわば奇跡的な空間だ。 その空間の中で彼は作った輪ゴム飛行機を飛
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