視線/人物像/kauzak
 
表面だけを取りつくろって
内部は瓦解した家族の物語

けれど持ち合わせた秘密は
あまりにありふれていて
事件らしい事件が起こっていない

ただお互いの視線のズレが
互いに相手に抱く人物像のズレが
鮮明に描かれて

ありのままの自分の内実を
他人に理解してもらうことは
できないことを思い知る

視線/は
交わることがあっても

視線/は
重なることはないのだ

読み終えて
寂寞とした風が胸を
吹き抜ける
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