わだつみ/水島芳野
広い海原からたったひとしずくの真珠を拾い上げるような
そんな途方もない思いで、
今にも枯れ朽ちそうな薔薇を掻き抱き
わたしはこの道に佇む
どこへ行けばいいの?
靴すら持たずに
どこへ行くというの?
何も信じられないくせに
どこに行けるというの?
故障だらけの腕のまま
朝焼けに焼かれ、泡立ちながら沈めばいい
そんな無意義な不安など。
地図を焼き払い、準備を進めよう
「宝物はなんだ」
問いかけはそれだけでいい
選びたいなら目指すだけだ
こんなにも美しい、世界の片隅から。
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