飲食店の席で/ブライアン
 
なのだろう。何度も繰り返される短い会話の端々に、近隣のランチ事情が見え隠れしている。彼らは、何年も同じ職場で働き続けていた。だが、誰一人として心を開いて見せたことはない。秘めることでしか、安心を得ることはできなかった。それでも、思わず口から出てしまった言葉が、年長者の笑い声を止めた。常に笑顔の奥にあった、冷淡な目が表に出てくる。彼は口を開く。ゆっくりと身振りを加えながら、会社の歴史を語りだす。男たちは沈黙して背を正した。

 周囲は騒々しかった。五人組の笑い声がなくなった今、喫茶店の店員の声が、食事する人々の物音が、よく耳に届くようになった。ここは、こんなに騒々しかったのか、と周囲を見回す。あ
[次のページ]
戻る   Point(0)