薄明/きりえしふみ
から……その中で余りに
綺麗で艶やかな夢を織るから 淡い吐息の更に下の方で 余りに淡い夢を描くから……朝は……
『けれども もう 夢は終わったのです』
ひとつの恋が終わった
雨音の小さな漣の元で
……チクタク……チクタク……
時計の針は 午前零時を描き終え
宴の終わった大広間で シンデレラは……王子を持たない眠り姫は
夢の名残の接吻に 暫し 微酔い気分でまどろんでいた……それでも
『夢の続きは夢の中であっても……もう 語られない……描かれないのです』
たった一人の 指先……それだけを 以ってしては
(c)shifumi kirye 2008/06/05
戻る 編 削 Point(4)