右手左手/パンダコッタ
 


君を追いかけ
探しては帰る
どうしようもない夜をくぐり
街灯りが遠ざかる
ポリバケツの上でくつろぐ猫がにゃあと鳴いた
抑揚のない
ふざけた鳴き方だった

さようならと
フリーペーパーの切れ端に書かれた一言は
通販番組へのお問い合わせぐらいに
気軽に薄っぺらいメッセージで
財布へしまう時に見つけた
外れクジに重ねて入れた
好きな数字を選んで当たるタイプで
それは君の誕生日だった

部屋に戻り
付けっ放しのテレビから流れる
ニュース番組の天気コーナーで
天気予報士が梅雨入りを告げる
その声がやけに機械的で
湿った部屋が少し乾くと
部屋干しされた

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