夜の空になる/結城 森士
 
てくれるだろうか。
    それとも、あたしのことなんか興味ないんだろうか。
     きっと、 今ごろ綺麗なお姉さんになっているんだろうか。
       今のあたしのことなんか、目にも掛けてくれないんだろうなぁ。
          悲しいなぁ。一緒に埋めたヒマワリは、咲いたのかなぁ。

         *  *  *



一体どれほどの時間、眠っていたのだろうか
目を開けると夜の闇が、視界から光を奪っていた
何も感じなかったし、何も思い出せなかった
光は何処にも無かったが、心の中は澄み切っていた
意識が闇の中を自由に広がっていった
どこまでもどこまでも、あたしはあたしではなく、何者でもなく、ただ夜と一体化していった
あたしは再び目を閉じて安らぎに身を任せた





何処かで、
鎖に繋がれた番犬が、
沙織ちゃんに向かって
執拗に吠え続けている
心の中で
沙織ちゃんが囁いた気がした
「開放されることは、とても悲しいことなのにね」
って
戻る   Point(2)