陰のひと/山中 烏流
 





 
満ち満ちる
そうして、あなたは
ほの暗さと等しく
すぐ先のことを知る
 
生温さを聞くのなら
灰色は
多分、味方なのだと
 
そう言って
私はいつもより
透明に、なった
 
 
******
 
 
針金は戻らない
あるいは
つぎはぎされた糸目が
それを許さない
 
これは
いつもより、凪いだあとの話
 
手折った何かの下で
あなた、が
笑っている
 
 
これは
いつもより、凪いだあとの
 
私、もまた
笑っている
 
 
******
 
 
小さな声は
窓際を装う色で
頬の横を過ぎる
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