愛について 〜贖罪の人〜/服部 剛
 
息を吸うては、吐き 
息を吸うては、吐き 
ヘッドフォンで塞いだ 
左右の耳に流れる
素晴らしいメロディ 
( 魂 )の、充電。 
自らもうたいながら 
日常へ踏み出す、足。 
この手紙を読んでいる 
あなたがもし 
言葉にならない呵責に 
自らの腕を切り刻みそうになったら 
次の余白に 
心の奥に隠していた 
どんな言葉もそのままに 
打ち明ければいい 
「 
                   」 
この余白に 
遥かな昔、遠い異国で 
十字架に掛けられ 
頭を垂らし 
瞳を閉じた人が 
うっすらと隠れています 
昔、私が間違いを犯し 
どうしようもない自らを醜く思い 
打ちひしがれていた暗夜に 
その人は、閉じた瞳で、云いました。 
「 わたしはお前の為に、いのちを棄てる 」 
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