『メリー・ゴー・ラウンド』/東雲 李葉
 
僕らを包む時 太陽は別の誰かを照らしている


だけどこうも希望は遠く
指先が触れることもままならない
彼方に見えた人影は母待つ家を見つけただろうか


夜半時 夢の中でもその手を探す
遊び疲れて眠る子を優しく見守る眼差しよ
町灯り ひとつふたつ目を閉じる
名もない星の宿命を誰が嘆いてくれるだろう


だけどどうして夜は短く
輝く時は刹那にも似て
ああそうだきっとあれは昔の僕だ


有明け時 星は夜へと引き返す
時計周りの馬達が朝日とともに嘶いて
月明かり 薄まる影と眠ったら
今日を告げるファンファーレが光の町にこだまする


幸福を廻る騎手達よ
木馬にまたがる子供らよ
どうか今日も安らかに
昨日の僕を遠ざけながら世界は廻り 廻り 巡る
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