『メリー・ゴー・ラウンド』/東雲 李葉
 
夕暮れ時 太陽の沈む音
二度と戻れぬ今日の日に「またね」と声をかける子ら
薄明かり 絵画のような雲の色
ひとりふたりと木馬に乗って帰っていく


どうしてこうも世界は緩やかに
まるで明日の訪れを拒むように
彼方に見える人影が誰のものか分からない


黄昏時 家路に着いた烏の群れ
恋しくて淋しくて同じ言葉を繰り返す
町灯り ひとつふたつ蛍のように
ふと 頭上を見上げれば廻り巡る星の夜


どうしてこうも時代は速く
瞬きの間に変わってしまう
彼方に見える人影はこちらに向かって両手を振る


その光が僕らを照らす時 光源はすでに無きものだという
闇夜が僕ら
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