父の日/N.K.
 
って
もう父親の腕の中から逃れようとする。
この子には父の日が毎年来ることなんてまだ分からないのに

娘よ、この時期のあの分厚い雲にスプーンをさくっと突き刺して
ぐるぐるかき混ぜてくれないか と思わないでもないのだが
大きくなったときに君が自分の心の冷まし方を覚えてくれれば
まずまずよしと思うことにしよう。
自分のじりじりとする照れくささは
はたして君に巡っていくのだろうか。

気持ちを伝えることがうまくなくとも
それなりになんとかなるものかもよ。
言葉もよく分からない相手に勝手にそう言ってみて 
自分の中の重なる雲へとストローを挿した気分になる。



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