駅ロータリー周辺に降る雨は止まずに/プテラノドン
いこと言ったんだ。僕は負けじと、―神様より、子供達より、
僕は好きな女の子を信じているけどね、と言った。
それから僕の片思いの話を聞いて、
「最高ですね。」と笑った神父には、オーストラリアに
ジュリアという名前の彼女がいて、
(写真を見せてもらったけど、お世辞にも可愛いとは言えない)
安っぽい駅ビルのロータリーは、バス停留所は、
空車だらけのタクシーの前で傘をささずに立っていた僕らは、
当たり前のように雨に濡れていて、
別れ際に、日本にキリストはいるのかと聞いた僕の問いかけに、
「いないから、こっちから逢いに行かなくちゃならない。」
とジェームスは答えた。
僕は笑ったよ。だって僕ら二人は本当に逢いに行く必要があったんだ。
きっと今以上に、雨に濡れながら。
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