雨宿り/西日 茜
 
そこらじゅう蹴飛ばして
セルロイドみたく スキップした


傘を放り投げ バカみたいに踊った


気がつくと バスが来ていた
乗っていた人々がボクを見て
ニヤニヤしている
ボクは恥ずかしかった


何日かして 雨の日の停留場にひとりでいたら
いつの間にか セルロイドがそばに来て
ボクの両方の長靴をくれとせがんだ

両の長靴を履いたら
キミはどこかに飛んでいってしまうのだろう?

ボクは片っぽしか履かせなかった

そしてまた キミが溶けるのを待って
黙って片っぽの長靴を拾い上げる

今度もチクリとするが
前のようには踊らなくなったボク


雨はいつまでも降り続いた


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