観測船/おるふぇ
 
確かに君の口は動いた
「さ・よ・な・ら」
信じていいんだね
あの日、二人で落ち合ったホテルは
もう潰れてないけれど
あの日、二人で分け合ったホタテは
もう消化されてしまったけれど
あの日、二人で抱き合った火照りは
いつまでも、しびれさせていることを
信じていいんだね

ねえ、
あの虹のように昇華できたら
素敵だと思わないかい
夢見てると思ったんだろう
だから君は言ったんだね
「さ・よ・な・ら」

解らないよ、その言葉の意味を
なあ、
訳もわからず、心臓が心臓の音を求めている
生きていることは、たったこれだけだと言いたげに

あの観測船は何を測っているの
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