めまい。/哀詩
歪みはじめた世界の端で
あなたのせなかに然様ならを告げた。
ひっしにつかんでいたあの糸は赤じゃなかったの。
ミシン糸のような細さだから
あたしの手をずたずたにしてしまって
血がしたった純白の糸を
あたしが赤と勘違いしていただけ。
立ち上がったあの瞬間の暗闇を
ふたりで盲目の瞬間と呼んだ。
なづけてしまったら、それはいとおしくなって
わたしは世界をみうしなうたびに
くらり、とあしもとを迷子にして
くすり、とわらってしまうのだ。
矯正された世界の中で
あなたがいない今も。
今も、 くらり、 くすり と かなしく。
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