時の影/松本 涼
 
カラリと渇いた道の上に立ち
待ち侘びた時間の束を
そっと放つ

その影の尾が
通りの向こうへと細く消えて往くのを
私は呼吸だけを携えて
一筋に見つめている

明らかに失ったことを
知るために


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