[各駅停車]/東雲 李葉
お給料が入ったから貴方の好きな煙草を買った。
仕事嫌いな貴方でなく肺のきれいな私のため。
友人に愛を告げられたから好きだったあいつに電話をかけた。
君は誰だと問われた挙げ句無言の後に電話は切れた。
特急電車は笑いながら走り過ぎていく。
溶ける景色が嫌いだから乗らないだけだと嘯いて。
ああ、巧くいかないもんだ。課題は減らずに溜まる一方。
友達に大事を委ねてみたけど最近あまり信じられないし。
懐かしい声がしたから記憶の糸を手繰ってみた。
実は知らない人だったりしていい加減さに呆れ果てる。
素直に好意を受け取れないのは根っこの所為だと言い張って。
芝居口調の彼の舞台
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