ドアの外/aidanico
 
面白い冗談で笑わせてくれ
出来れば流行の三秒で笑えるレンジなお笑いがいい
シャツに小汚い染みをこれ以上
増やしたくは無いグレイト・ジーニアスを
知っていたらここに電話してくれ

彼は待合室のドアの外でマルボロを吸っていた
私はどうしてもそのドアを開けられなかった
私はどうしてもツモリのストラップ・シューズを履けなかった
私はどうしても彼の横顔を見ることが出来無かった
彼は受付に戻って笑顔でサヨウナラを言った
私はなぜか彼の期待に答えることが出来なかった
私はなぜか笑顔でサヨウナラを言った
私はなぜか一種の現実を受け止められなかった
小降りだった
でも土砂降りだった

[次のページ]
戻る   Point(5)