平行に吹く風/つばくらめ
まるでもう梅雨が明けたような日だった
絡みつくような熱気
三番線のアナウンスが陽炎に揺れる
横ではサラリーマンが
つまらなそうに電車を待っている
僕はただ
いつもの青いタオルで
額の汗を拭っているだけ
クラクションの音が
湿度を破ってくる
篭もった風が全身を舐める
車両の中の風景が少しずつスロウになって
ゆるやかに静止画へ
そのドアの向こうに
ずっと思い描いていた顔があった
強酸性の心臓
全身の血液が泡立つ
自動ドアが開いて
肘に突き刺さる冷気
それと入れ替わるように
流れ込んでいく乗客
僕は同じような顔をして
一つ離れた吊り革に
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