不妊の夏/蒼木りん
今夜
何か産みたいのだけれど
定まらない
あてのない
ふらついた旅は
寝る場所をさがすためだけの日に終わる
空腹だ．．
恋の人と嘘をつかれ
釈明しない
あなたの悲しさは
あなたの悔しさは
あなたの意識は
たったそれだけのもの
逃げていく私を
無理やりにも引き止めない
膨らんでゆく嫌悪が
糸を噛み切った
風船は
二度とその手には帰らない
呆然の後の
捨て台詞
唾で汚されてしまったから
酒で身体を清めよう
美しく生きるあなたが
白い女を求めるのは必然
はじめから
関係ないこと
椅子に座ったまま
五感が眠ってしまった
すべて閉ざして
白の中に眼がくらんでいる
絨毛の中にかくれて
眠っている
空腹だ．．
こころが
それでは
何も生せない
あなたは
セックスさえためらう私に失望したのだ
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