姉/佐藤清児
 
草木と土の匂いが
とても近くにあった
大地に捨てられているのか、私の身体は。
顔を傾かせ
地面に耳を宛がう

姿の無い何者かが
私の身体をゆっくりと押さえつけてくるような
鈍い重圧を感じた
身を起こさんとする間に
また
鳥達のさえずりが反響し合って
聴覚に溶け込んでいく
目を瞑れば良い。
(目を)目を瞑れば。

そして視覚は
ただ、東から日没に向かって、ゆっくりと溶けていった










姉が泣いている
姉が泣いている
姉が泣いて
母が、母が
恵理、恵理、恵理
私は何処にいるのか


姉が泣いている
この地面の近く
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