ミッキーマウスのＴシャツを着た少年 /服部 剛
「スライディングをして
サッカーボールを蹴った
ナカムラシュンスケ
が映るテレビを見て
小さい両手を頬にあて
幼い兄と妹は
ムンクの顔を並べる 」
という看板の壁にかかった
街角の
階段を
たったかたった
ミッキーマウスのＴシャツで
畳んだ傘をくるくる回し
駆け下りる少年
傘を忘れて身を濡らし
少々草臥（くたび）れたリュックを背負（しょ）った
３０過ぎの僕
すれちがう瞬間
何処からか聞こえる、不思議な声。
（ 笑いと涙で彩る日々の舞台を踊りましょう ）
雨の弱まる空の雲間から射す
ひとすじの日に
濡れた路面の一本道が
かがやいた
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