座礁/黒川排除 (oldsoup)
では離れる。手術痕に最後の一文を貼る。セロハンテープで。もちろん透明な窓。鉄条網を抱えて、それは引き剥がした。他人の手が隣の座席に。手以外は手紙の一文に添えてある。
電報はこの瞬間にも心臓を青く掠めている。まだ動いている心臓。激しく動く後方の宿舎、血管、台所の逆光と対置して。包丁が生身を映す。まだ通用するから。内壁との摩擦、水ならばそうしない。歯をキリッと噛む。
蛍光灯の激しい点滅。血が炊飯器の形をしている。
壊れた蝶番のまだ新しい錆が金色に明滅の中を刺していた。
首は無傷らしい。筆跡は直線である。池を表現する手話。半日続いている。もしくは長い迂回。廊下が軋む。
船だ。
打電は難しくひとの命を問う乗組員の共通点を打ち始める。生身であるかのように。
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