とちかん/
Hitotsuyanenoshita
帰っていく
町のともしびが
冷たくなって
帰っていく
月の出ない晩
朝まで
何の鳥を鳴かせよう
誰かがきた
また遠のく町に寄せる
手紙と同じ重さの波
海が近い
花束は
いらない
帰るときには
何のためらいもなく
たどたどしさも捨てて
冷たさの余韻に
包まれていく町とその終焉
波のざわめきも
今夜は月を呼べない
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