「地下一階から見上げているひとへ」/ベンジャミン
あなたはまだ
地下一階にたたずんだまま
この世に生をさずかる前の詩です
見えるはずもない空の
その方向をさがしている
一鎖の言葉のつらなりです
空はきっと上にあると思い
自然と見上げるようなしぐさで
そして生まれる前の詩を書くのです
地上に上がれば日常があり
日常があるのと同じく現実があるので
それが怖いのはわかる気がします
だからあなたはまだ
この世に生をさずかる前の詩に
巨大に美しい空を描きたいと願います
あるときは白いノートの上
あるときはまるまってうずくまり
閉じたままの瞳のおくにある
それを言葉にしてしまうのが
怖いという気持
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